移住者体験談
吉田美絵さん
移住先 | 須坂市 |
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移住年月 | 2015年3月 |
年代 | 30代 |
家族構成 | 夫婦 |
職業 | 農業 |
夢を追うのは楽しい
「夢を追うのは楽しい」今回のインタビューで心に残ったことばです。
さらりとそう語ってくれたのは、一見クールで都会的な印象ながら、話をしてみると、明るく茶目っ気ある語り口で自然体な雰囲気を感じさせる吉田美絵さんです。
この春、2年間の農業研修を卒業したご主人とともに、農家としての一歩を踏み出しました。
●夫が農業を目指すまで
夫はプログラマー、私は食品関係の会社でデンプンの研究・商品開発の仕事をしていました。特に不満とか不安とかがあったわけではないのですが、あるとき気づいたら、家に田舎暮らしについての本がどんどん増えてました(笑)。私たちの場合は、農業を目指すにあたり具体的なきっかけがあったわけではく、田舎暮らしに憧れを抱き、どうしたら田舎で暮らせるかと考えていたら、農業に辿りついたという流れです。
“田舎暮らしの夢”を夫婦で語らう日々が3~4年くらいありましたので、夫が農業をやりたいのなら自分も一緒にやろうと、自然に思うようになっていました。
Iターン移住で新規就農というと、かなり思い切った決断だったのではないかととられがちですが、私たちは長い時間をかけて、田舎暮らしという自分たちの夢の実現に向かってきただけなのです。
●どうして須坂を選んだのか
『新農業人フェア』などのイベントに参加し、新規参入しやすい作物や場所を探していたとき、いくつかの土地・いくつかの作物で魅力を感じたものもありました。その中から須坂を選んだ理由は、「須坂市でのぶどう栽培」が、私たちにとって、生活・収入などのバランスがよい“生活ができる農業”のイメージに合ったものだと感じたからです。誇張もなくありのままを誠実に、そして具体的な話を聞かせてくださった須坂市のご担当の方には深く感謝しています。
●須坂で生活して良かったこと、苦労したこと
良かったことというと、とにかく果物と野菜が美味しいことです。そして、自分の体で食べ物の旬を感じることができるようになったのが嬉しいです。例えば夏が旬のキュウリの美味しさを知り、わざわざ旬でない時期にキュウリを使った料理をしようと思わなくなりました。他の食べ物も同様です。
それと、いつも山が目に入る風景がそこにあることが良いところです。須坂からは北信五岳や白馬など北アルプスの山々が良く見えるのですが、ふとしたとき、例えば1日の仕事終わりの帰り道に山がきれいに見えると、それだけで嬉しいというか、心が満ち足りていくような感じがします。
苦労したことは、日常生活に車が必需品なので、ペーパードライバーだった私は車の運転を数か月にわたって練習しました。また、徒歩や自転車で出かけることがなくなったので、運動量が激減してしまいました。少しでも運動不足を解消したいので、市で開催しているヨガ教室に通っています。
●移住希望者へメッセージ
いろいろな可能性があると思いますので、できるだけたくさん情報を集め、話を聞いたり見に行ったりすることをお勧めします。多くの可能性の中から、自分に合うもの・納得のいくものを選べば、その道へすすむことへの不安が減ると思います。
私たちにとってはそれが、「須坂でぶどう農家になること」でした。
●インタビューを終えて
ご主人がブドウ栽培について里親研修を受けておられた2年間、美絵さんはご主人の研修先である里親さんの元でパートとして働きながら農作業を学びました。ご主人の独立とともに美絵さんも現在はご夫婦二人三脚で自分たちのぶどう畑で作業をしています。
「夢を追うのは楽しいことだから」と、移住・新規就農の道にまっすぐに進まれた美絵さんに今後の目標をお聞きすると、「もっと畑を増やしたい」「ぶどうの品評会で賞を獲りたい」「ぶどう栽培は技術がいるものだから、高い技術を身に付けて高品質のぶどうを作りたい」と、微笑みながらも力強い口調でつぎつぎと語ってくださいました。
夢や目標をしっかりと抱き、着実に前進する芯の強さがあるからこそ、彼女はいつも自然体でいられるのかもしれないな、と思いました。