移住者体験談
林 洋子さん
移住先 | 伊那市 |
---|---|
移住年月 | 2011年2月 |
年代 | 40代 |
家族構成 | 夫婦と子ども3人 |
職業 | 専業農家 |
子どもが子どもらしくいられる場所を探して
北海道でシュタイナー教育を実践するコミュニティを訪れた時に夫と出会いました。結婚後、かねてから思い描いていたシンプルな暮らしを実現しようと、家族とともに神戸から伊那市高遠町の藤沢地区に移り住みました。
全国各地をめぐって移住先を考える中で重視したことの一つは、子どもたちが美しい山でいっぱい遊べること、子どもが子どもらしくいられることです。そのような楽しい空間と美しい風景が、将来、子どもにふさわしい故郷になると思っていました。そこで、自然豊かな里山にある高遠第2・第3保育園の存在を知り、移住を決意しました。この保育園は、信州型自然保育認定制度「信州やまほいく」で第1号の認定園なんです。
*信州やまほいくの郷 http://www.shizenhoiku.jp/
決め手となった高遠第2・第3保育園の存在
夫が以前、伊那市高遠に滞在していたこともあり、保育園が素晴らしいという話は友人から聞いていたんです。実際の園は、本当に子どもが子どもらしく生活できる場所です。真後ろに山があり、毎日ちょっとした軽登山みたいな感じですね。外で活動する時間が長いところがいい。伊那市の中心街から車で30分以上かかる地域ですが、子どもを自然の中で育てたいという理由で引っ越してくる人たちが多くて、保護者の8割以上が移住者です。
そういう意味でも、核家族が多いので、よその子もわが子という感じです。お母さんたちのチームワークが抜群で、保育園の送り迎えを助け合ったり、忙しい時にお弁当を作り合ったりするのは特別なことではなく、協力しながらみんなで子育てをしています。それに、お母さんたちが集まっても人の悪口で盛り上がらないので居心地がいいです。子どもの成長を喜んでくれる近所の人が多くてうれしいですね。
*高遠第二・第三保育園 ファンのページ
https://www.facebook.com/23takato/
里山での日々の子育て
家にはテレビもないし、市販されているような“おもちゃ”はありません。子どもたちは薪や石をおもちゃにしていますし、そういった身の回りのものを使って飛行機や薪を運ぶ車を自作しています。自分が楽しいものを作り出して、自分を楽しませるのがうまいなと思います。8歳と6歳の息子はお料理も好きで、ケーキも焼きます。レシピも自己流です。
こういう育て方をしたかったので、長野県は最適な環境だと思います。いくらでも遊ぶ場所はあるし、子どもたちがどんなに騒いでもご近所に迷惑をかけることはありません。都会で暮らしていたころは、子どもが体の思うままに遊べる空間が少なかったです。
都会だと自然のなかで遊ぶのは特別なことで、ある種のレジャーでした。わざわざ時間をかけて山や川や海に出かけていました。でも、ここは一歩道を行けばすぐに山が広がっていて、動物園よりも動物がいっぱいいる感じです(笑)
自給自足ライフの実際は/実際に住んでみてどうですか
この地域は何もないと言われますが、人が生きるに絶対必要なもの、例えば美味しい空気や清らかな水、新鮮な野菜、温かい人の繋がりなど、すべて揃っています。お店が遠いので、必要なものがあれば作れないか考えるし、病院も遠いから予防に徹しようという発想になります。
不便だから知恵が働くので、お金で解決しなくて済むこともあります。自給率が上がるほど、誰かに支えられて生きていることをより実感します。本当にありがたいです。
高遠に来てからは、農薬・化学肥料・動物性堆肥を使わず農作物を栽培する農園「オーガニックファーム88」を、夫とともに営んでいて、主にトマトとズッキーニを生産しています。
農作業を手伝うボランティアも全国各地、世界からも受け入れています。ボランティアの方の中には移住先を探す人もいます。
*オーガニックファーム88 http://farm88.jp/
将来の夢は
長野に引っ越してきてから、豊かな自然のなかに家があり、自然は暮らしの一部になりました。保育園も、小学校も、中学校も素晴らしいです。
伊那市高遠町から市外や県外に移住された方が、「地元に戻って子育てをしたい」と思ってもらえる様な環境づくりやネットワークづくりをしていきたいです。
移住を考えている方から住まいについての相談も受けることが多いので、地域の方と協力して空き家の有効活用や短期滞在希望者の受け入れ態勢を整えていきたいですね。
ありがたいことに、この春だけでも5家族ほど引っ越してくる予定です。
とりあえず引っ越してくれば、なんとかなりますよ。