移住関連情報
なぜ須坂市が「蔵の町」としての歴史をたどったか~須坂市は歴史と文化が共存する町です~
普段、東京や大阪、愛知などで開催している移住セミナーでは、須坂市が少雨で果樹栽培に適した気候であるなど暮らし環境の部分について発表しています。今回は明治から昭和にかけて製糸業で栄えた須坂市の地形や風土、現在もその姿を残す「蔵の町並み」の歴史的背景をご紹介します。
●3つの地形区(山地・傾斜地・平地)の須坂市
須坂市は市街地を中心に周りを取り囲むように果樹畑が広がるなだらかな扇状地です。市内を走る百々川や松川は酸性の川になります。
なぜ酸性なのでしょうか。それは、川の上流に硫黄や鉄,銅などの鉱山があったからです。江戸時代に開発された鉱山から流れ出る物質が川に入り酸性の河川となりました。この酸性の川も製糸業が発展した要因の一つでもあります。
●江戸時代に始まる製糸業
江戸時代、百々川近郊に桑畑が開発されました。須坂の扇状地形は桑栽培の適地で、風通しの良い千曲川沿岸は特に優れた蚕の卵の生産場所でした。
町では住居兼工場として屋敷内に川を整備し糸を紡ぐ機械の動力として水車が作られました。これも須坂特有の扇状地形が適していたからでした。このことからも須坂の町は製糸業が発展する場所として理に適っていたと言えます。さらに屋敷内を流れる川は酸性だったため水車の劣化を防いだそうです。
●日本初の製糸結社ができた町
当時の須坂市はたくさんの蔵造りの町工場がありました。
明治8年に同業社が集まり結成されたのが東行社です。世界遺産に登録された群馬県の富岡製糸場は国営ですが、須坂の東行社は小さな町工場がたくさん集まって発展した日本初の同業結社でした。それぞれの工場が均一した品質で大量生産をし、横浜経由でアメリカへ輸出されていました。世界の東に向かって生糸を出荷することから東行社と名付けられたというのですから昔の須坂人のセンスにも驚かされます。
いち早く海外に目を向けていた須坂人は商売の勘が優れていたとも言われています。
●今も残る当時の文化
昭和初期に製糸業は衰退しましたが、現在も町中には蔵造りの建物が多く残っています。屋根瓦の枚数が多いなど、それぞれの家が製糸業で発展し裕福であったことを物語っています。
現在の銀座通りは「蔵の町」として当時の文化に触れることができる観光名所となっています。町中の細い路地も当時のままで、迷路の町として今では観光客が訪れています。須坂市は歴史と文化が共存する町並みを味わいながら暮らすことができます。
●終わりに
今回、どうして須坂が蔵の町と呼ばれているかをまとめたことで、自分が生まれ育った場所に改めて誇りを持つことができました。当時須坂市に暮らしていた人々がどんな未来を描いていたのか、今すぐにでも聞いてみたくなりました。深く歴史を知ることで、さらに住む場所としての須坂市を皆さんにご案内し、納得できる移住につながることができれば幸せです。
(須坂市移住・定住アドバイザー 豊田貴子)
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