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須坂市地域おこし協力隊 宮島麻悠子の 『須坂おもしろ人物記』vol.3 「農業人口を増やす!使命に燃える種屋さん」
インタビュー第二号は、須坂市で唯一の種屋さん「至誠堂 豊田種苗店」のご主人「豊田 誠さん」です。
種屋さんは信用商売!店名に込められた想いとは
宮島:まずはお店について伺いたいと思います。種苗店ということで、種と苗を専門に扱っているお店ということですよね。店名についている「至誠」は「この上なく誠実なこと」という意味ですが、こちらの由来は何でしょうか?
豊田さん:もともとは「至誠堂」が店名でした。僕のおじいちゃんはもともと農家さんで、農業をしながら種屋さんをはじめたんです。種屋というのは「信用第一」。農家さんは時間をかけて作物を育てますが、もし蒔いた種がうまく育たなかったり、味が良くなかったりしたら売れないですから。生活がかかってるわけです。うちはだいたい創業から60年ほど経ちますが、種屋の中では新参者なんですよ。それぞれの農家さんには古くから付き合いがあり、信用している種屋さんがありますから、そこからお客さんを取り込むのは容易なことではありません。だから、「誠実な姿勢」を約束するという意味で、この名前にしたのだと思います。
宮島:確かに、種は作物のもとですから種屋さんの責任は重大ですね。現在は農家さんと家庭菜園用に購入される一般の方と、お客さんはどちらの方が多いですか?
豊田さん:お客さんの数でいったら家庭菜園用の一般のお客さんの方が断然多いですね。大量に購入してくれるのは農家さんですが。そんなわけで、うちでは種を少量ずつでも販売しているんです。家庭菜園だと少量多品種を育てたい場合が多いですが、一般的には一袋にたくさん入った状態で売っているので、余っちゃうんだよね~とお客さまがこぼしていたのがきっかけです。種は余ったから来年残りを蒔こう、というのができませんし、余らせるのがもったいないからといって適正な間隔で植えず結局うまく育たなかったりします。種芋もふつうはキロ単位での販売が主流ですが、うちでは1個から販売しています。
ピーターコーン15粒!!モロッコインゲン9粒!!!これなら気軽に挑戦できそう
小分け用の袋がびっしり並んだ棚
宮島:仕事をしていて嬉しいことは何ですか?また、仕事で大事にしていることはありますか?
豊田さん:作る人と食べる人が近いので、「あれおいしかったよ!」とか反応を聞けるのが嬉しいです。良い反応もそうでない場合も含めてですね。大規模農家さんだけが相手だと、出荷した後どこへ行ってだれが食べて、それが美味しかったかどうか聞く機会って無いですからね。
仕事で大事にしているのは、お客さんがぽろっとこぼす一言を逃さないこと。種の小分け販売もそうですが、お客さんの本音ってぽろっと出るんですよね。そして、多少値が張っても「本当に美味しいもの」を提供すること。見た目が良いとか病気に強いことが重視されることもよくあるのですが、作る人と食べる人が近いこともあり、うちは「味重視」で品種を選んでいます。
味重視で選んだ種が並ぶ店内
キャベツと白菜の違いがわからなかった若かりし頃。。
宮島:豊田さんはもともとお店を継ぐつもりだったんですか?
豊田さん:いずれは継ごうとは思っていましたが、もともと動物が好きだったので獣医さんになりたかったんです。大学も獣医学部を目指していたのですが、受験は見事に全滅しまして。。一浪して再挑戦しましたが、獣医学部はやっぱりダメで、農学部だけ受かったんです。やれるだけのことはやって獣医学部はダメだったので、すっぱり諦めることができました(笑)
大学生の時父が市議会議員を始めて、店が回っていないと感じたので、卒業後すぐ帰ってきました。
うちでも畑を持っていて、ある時母に「キャベツとってきて」と言われたのですが、キャベツと白菜が両方ある中でどっちがどっちか分からず(笑)これはマズイと思って、25歳の時大手の種苗店で1年研修を受け、26歳で店に入りました。
宮島:白菜とキャベツの違い、知らない人には同じように見えるんでしょうね(笑)
今後やっていきたいことはありますか?
豊田さん:農家さんの高齢化や後継者不足によって農業をやる人が今後さらに減っていくことは避けられない状況です。そんな中で自分の使命は「農業人口を増やすこと」。まずは農業の間口を広げることだと考えています。最初は家庭菜園のような気軽にできるものから始めてもらい、面白さを知ってもらって、その中から本格的に農業を生業にする人が増えていけばいいなと思います。自分なんてキャベツと白菜の違いがわからなかったんですから、まったく初めての方の気持ちが分かるのは強みかもしれないですね。
60年以上地元の方に愛される種屋さん、今後も期待しています!
宮島:奥深いお話ありがとうございます!では、最後に須坂で一番おもしろいと思う人を紹介してください。
豊田さん:坂詰商店の坂詰ひさしさん。彼も鮮魚店でがんばっています。年中忙しいみたいですが、たぶん対応してくれると思いますよ。
宮島:ありがとうございました!
というわけで次回のインタビューは坂詰商店の坂詰ひさしさんに決定しました。
お楽しみに!!!
(須坂市地域おこし協力隊 宮島麻悠子)
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