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須坂市地域おこし協力隊 成田あゆみの『豊洲フルーツハリウッド農ガール物語』vol.6 「この時期のりんご農家って何してるの?」
みなさんこんにちは。2017年6月から須坂市豊洲地区で活動している地域おこし協力隊の成田あゆみです。私が活動している豊洲地区は長野県でも有数の果樹地帯です。
このシリーズでは豊洲地区に嫁ぎ農家となって活躍する魅力的な女性を紹介していますが、今回は元号改正のため特別編!!ということで、ちょうどこの季節、りんご農家の方々が行っている作業をご紹介したいと思います。
●桃、梨、りんごの順番に花が咲きます
3月から4月にかけて、全国各地で桜の開花予想をしているころ、りんご農家はりんごの花の開花予想をしています。豊洲地区では桃や梨の生産も多いので、花が咲く順番としては、桃(3月下旬~4月頃)→梨(4月上旬~中旬)→りんご(4月下旬~5月上旬)となります。なので、梨の花が咲き始めると「お、そろそろ下草を刈ろうか」と思うそうです。下草とは、りんごの木の周りに生えている雑草で、これが長く伸びていると放射冷却の影響で空気の滞留が起きやすくなり、朝晩の冷え込みがきつい信州では霜が降りてりんごに被害がでてしまうそうです。さらに霜害の予防策として、防霜ファン(4~5℃以下になると自動的に)を稼働させ、風を起こして冷気が滞留するのを防ぎます。これは今から約20年前に豊洲地区で取り入れられたそうですが、静岡県の茶畑が発祥と言われています。こうして花が咲くまで準備を進めていきます。
●自家受粉と他家受粉
りんごの花が咲き始めると品種によりますが「花粉付け」という作業が始まります。これはその名の通り花粉を人工的に授粉させることですが、現在豊洲地区で栽培されている多くの品種はこれを必要としていません。それはなぜかと言いますと、りんごの品種によって違いますがこの地域で多く栽培されている品種は自家受粉できるタイプだからです。1本の木で受粉が可能なので人の手を介さず実を成します。これと逆に人が手をかけなければ結実しないのが、他家受粉の品種です。作業としては花の中心に花粉をチョンとつけてあげます。
そして豊洲地区における他家受粉の代表格がふじです。誰に聞いても皆さん口をそろえて「ふじは手がかかる」とおっしゃいますが、こんな初めのころからすでに作業がほかの品種より一つ多いのです。ちなみに大きくなるにつれますます手がかかります。ふじに限らずりんごを食べるときは手間暇かけていることを頭の隅にちらりとおいて頂けると嬉しいです。
●一番摘花、二番摘花、見直し摘花
そして次に行うのが「一輪摘花(果)」と呼ばれる花摘みです。りんごの花は大体5~7輪まとめて咲くので、この中の中心の花を残して残りの花を摘み取ります。この作業がちょうどこの時期、ゴールデンウィーク明けから6月の下旬頃まで続きます。花を摘むだけなのに?と思うかもしれませんが、この作業、実に大変なのです。大きな木だとベテランの農家さんでも1本の木の花摘みをするのに1日かかるそうです。しかも畑には何百本もの木があり、それらは花摘み合わせて成長してくれるわけでもないので日々成長していきます。そのため、花摘みも終盤になると花というよりも実を摘む作業になるそうです。
そうして畑を一周すると、最初に花摘みした木の実が成長しており、そのまま「2番摘果」という作業に移ります。このときりんごの大きさはアーモンド大で、間隔を見ながら4分の1~5分の1に間引いていきます。それから1か月ほど成長させて「見直し摘果(3番摘果)」となります。こうしてどんどん落としていき、最終的に実になるのは1本全体の1~2%だそうです。それでも大きな木だと大体1000個の実が収穫できるそうです。それを考えるとどれだけたくさんの花やら実やらを落としているのかが想像できるかと思います。
●りんご作りは観察力
花が咲き始めたらあとはただただ選抜作業。どのくらい落とすか考えながら、長年の経験をもとに作業しているそうです。木によっては去年多く実をつけて体力が落ちているから今年は少なめにしたりと、全体の収穫量を予想し日々考えながら作業しているそうです。取材を受けてくれた方曰く、「観察力がモノを言う」のだそうです。
以上、改元記念特別編でした。
(須坂市地域おこし協力隊 成田あゆみ)
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