移住者体験談
吉本 淳さん、臣子さん
移住先 | 大町市 |
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移住年月 | 2015年11月 |
年代 | 50代 |
家族構成 | 夫婦2人 |
職業 | パン製造・販売 |
早朝に起きてパンを仕込む。大好きな山に囲まれた生活
「東京に住んでいた時は、ほとんど家にいなかった」と淳さん。今は妻の臣子さんと、仕事も一緒、3食一緒。パンをたくさん焼くときは朝3時起き。
大町市の美麻大塩にあるクラインガルテン(市民農園)を5年ほど利用し、農園に付随する小さなラウベ(滞在用施設)での〝必要最低限生活〟の経験があったから実現できたという店舗兼住宅。そこで2人は、太陽熱温水器や薪ストーブ・ボイラーなど、無理のない範囲で自然エネルギーを活用しながら、天然酵母や国産原料にこだわったパン屋「美麻ベーカリー」を営む。「薪割りをするところをちゃんと見ていてくれていて、地域内で倒木などがあると持ち主から声がかかることも。皆さんが気にかけてくれているのが伝わってきて、地域全体が〝運命共同体〟な感じです。暮らしていて安心感がある」と笑いあう。
「夢実現計画」をリスト化して移住地探し
「いつか移住したい」と考えながらも移住先は決まっていなかったと振り返る夫妻。「趣味の登山やスキーが楽しめる場所」、「水がおいしいこと」、「薪ストーブのある暮らし」などの、〝したい暮らし〟を箇条書きにした「夢実現計画」を作り情報を集めた。臣子さんは子どものころに八坂地区の山村留学「育てる会」が行う夏休み5日間のショートステイを経験していたこともあり、インターネットサイトで大町市のクラインガルテンを見つけて「大町って聞いたことがある。知ってる」と親近感を抱き、農園を利用するように。週末ごとに通ううち、農園の管理棟で働く地域のお年寄りと知り合いになり、田んぼを手伝うことも増えた。「自然豊かなこの地で暮らしてみたい」と移住に踏み切った。
山に囲まれ、包まれて〝生きてる〟実感
自分たちの〝夢〟に近い移住地での生活を維持するために2人が選んだのは「パン屋」の起業。大町市の「過疎地域起業者育成支援事業補助金」を利用してパン焼き窯などをそろえた。「山深い場所でやっていけるか不安はあったけど、役所の担当の方が起業にとても協力的で」と笑顔。現在は週末を挟む週3日間パンを焼き、店を開ける生活をしている。周囲からのアドバイスや声かけで、学校の職員室や地域内の入浴施設などでも販売するようになった。「やってみるとパン屋は体が資本。大変だけど、素晴らしい山岳風景と自然環境。大好きな山に包まれて生活することができ、地域の人からもらったり、自分たちで育てた野菜がとてもおいしい。(移住後)良いことがいっぱいあり過ぎて〝生きている〟実感の中で暮らしている」
手間と時間をかけて「地に足がついた生活」
「東京にいたころは『今日食べたいものは…』と出かけていた。ここでは買い物も計画的にしないと。買い忘れがあると車で15分、また山を降りなければならないので」と臣子さん。「都会ならお金を出せばなんでも便利に手に入る。なかなか手に入らないものを手間と時間、体を使って自分で作り出す生活。地に足がついた生活に魅力を感じる」と淳さん。米作りや畑仕事も実践する2人は、大町の夏が短く、田んぼ、畑、薪作りなどの外作業の時期が集中することに「毎日やることがたくさん。思っていたより忙しい」と張り切る。2人が大好きな登山やスキーを楽しむ時間ももちろん忘れず「天気の悪い日に無理をしなくても、ここにいればいつでも天候の良い日を狙って行ける。そこがいい」と、ゆっくり移住ライフを満喫している。
季節ごとに訪れて滞在し、知り合い増やして
「クラインガルテンを利用して二拠点居住(二地域居住)からスタートできたことで、移住前に地元の知り合いが増えた。移住してお隣になった大町市の定住促進アドバイザーさんとも、クラインガルテンの利用中に知り合いになり、いろいろな相談が出来ました。移住予定地が決まったら、週末だけでなく、年末年始やゴールデンウィークなどの長期連休などを利用して、出来る限りいろいろな季節、数多く訪れて滞在して欲しい」。
◆美麻ベーカリー
〒399-9101 大町市美麻3363-5
OPEN 金・土・日 11:00~18:00 品切れ次第終了
(1月~3月金・土 11:00~17:00)
◆大町市滞在型市民農園(クラインガルデン)
http://www.city.omachi.nagano.jp/00021000/00029001.html
◆大町市公式定住促進サイト
http://www.city.omachi.nagano.jp/teiju/